国民参加の事例紹介
中部圏 高山市社会福祉協議会 (岐阜県高山市)
人口減少社会を迎える中で、国土形成計画(全国計画)では、「地理的、自然的、社会的条件の厳しい地域への対応」を地域の整備に関する基本的な施策の一つとして、位置づけています。特に豪雪地帯においては、ハード・ソフトにわたる克雪対策の充実を促進することが必要とされており、その事例の一つとして、冬季における高齢者の生活支援に関する地域活動を続けている高山市社会福祉協議会(岐阜県高山市)の取り組みを紹介します。

高山市は岐阜県飛騨地方に位置する人口約95,200人の都市です。高山市中心部は「飛騨の小京都」と呼ばれており、全国各地から多くの人が観光に訪れますが、高根地域(旧高根村)は、高山市の南東方向に位置し、北を乗鞍岳、南を御嶽山に挟まれ、両山に端を発する小河川が合流して出来た飛騨川が流れており、集落が川沿いに点在する雪深い地域です。今回は、「高山市社会福祉協議会」の西永会長、坂下常務理事、小峠地域福祉課長、中林エリアリーダーにお話を伺ってきました。
介護保険事業を行わない社会福祉協議会
社会福祉協議会とは、コミュニティワーク(地域福祉とその技術)の普及推進と、民間福祉事業やボランティア活動の推進・支援を目的とした団体で、行政区分ごとに組織され全国各地にあるのですが、高山市社会福祉協議会は、他の協議会とは少し変わった特徴を持っています。
高山市は、平成17年に周辺9町村と合併し、東京都に相当するような日本一大きい市となりました。旧高山市では、介護保険事業は平成6年に誕生した高山市福祉サービス公社が行っていました。合併後も旧高山市の方式を引き継いだため、高山市社会福祉協議会は介護福祉事業を行わない全国でも珍しい社会福祉協議会となったのです。
介護福祉事業を行わない高山市社会福祉協議会、しかしその活動は他の協議会と比べても決して見劣りするようなものではありませんでした。
助け合う街に
高山市の山間部では、高齢化と人口減少が進んでいます。市街地では、地域コミュニティの減衰といった問題も起き始めています。社会福祉協議会が取り組むべき課題はたくさんありましたが、高山市社会福祉協議会が考えたのは、これからの時代は行政が何かをしてくれるのを待っているという時代ではなくお互いに支えあう時代にしなければ持続出来ない。地域の問題を地域の人たちが自然と声を掛け合い助け合って解決していく、そんな暖かい町作りでした。

アイデアで勝負
最初に目を付けたのは自治会の集会施設でした。職員が出向いて、お年寄りを集めて健康サロンを始めたのです。半分は健康のための体操をして、残り半分はおしゃべりです。実はこのおしゃべりが大切なのです。地域の問題の話をするうちに、「年寄りもまだまだ貢献できる」「たとえば登下校の声かけ運動を率先してやってみてはどうだろう」そういう話にもなります。サロンの数はみるみる増えて、ついに150箇所になりました。
公民館が上手くいくならと商店街の空き店舗でも始めてみました。閉じていたシャッターを開けて、高齢者の健康づくりや子供への本の読み聞かせなどを行う施設「よって館」をオープンしたのです。新しい顔が加わると商店街も活性化し、商店街のチラシ作りを頼まれたり、子供達が仮装して商店街を練り歩くハロウィンイベントを合同で企画したりもしました。
また、バスの停留所にスコップを置いて、「ご自由に雪よけをして下さい」と書いておく、というのもあります。助け合いの精神が育め、体を動かすことで健康増進にも繋がります。「それ、置いておくとやってくれるんですか!?」と思わず聞いてしまいましたが、バスを待っている時間は暇なので、スコップを手に取る人は意外と多いのだそうです。



