国民参加の事例紹介

中国圏 弥栄らぼ (島根県浜田市)

国土形成計画(全国計画)では、新しい国土像実現のための戦略的目標の一つとして「持続可能な地域の形成」を掲げています。その実現のための施策の一つが「地域間の交流・連携」です。特に、一つの地域ですべてを賄うことができない場合には、互恵の考え方に基づき、複数の地域間で相互に補い合う取組みが不可欠です。今回は、既にこのような取り組みを活発に続けている「弥栄やさからぼ」(島根県浜田市)を紹介します。

皆田さん

浜田市は、島根県西部の日本海を望む位置にあり、平成17年10月、旧浜田市を含む1市3町1村が新設合併して誕生した人口約61,100人の都市です。古くから海と山の恩恵を受け、近年は、中国横断自動車道広島浜田線の完成などによる広域交通網の構築、島根県立大学開学など、今後も、島根県西部の拠点都市として発展が見込まれます。その中で、弥栄地域(旧弥栄村)は、浜田市南部の中山間地域に位置し、人口は約1,600人。高齢化や人口減少により集落機能の維持が課題となっています。今回は、「弥栄らぼ」の皆田さんにお話を伺ってきました。

異色のスタート

「弥栄らぼ」は、島根県中山間地域研究センター(1998年設立、全国初の中山間地域を対象とした研究開発機関)による弥栄エリアにおける社会実験の現地オフィスとして、平成19年8月、旧杵束小学校に設置されました。
この社会実験は、集落機能が衰退し、長年の習慣や限定的な人のつながりに依存している地域にあえて外部の人を入れて、新たなネットワーク展開を模索しようという試みです。
弥栄地区は、旧弥栄村時代から、中山間地域研究センターと協力して、定住施策等に取り組んできていて、データの蓄積もあったことから、社会実験の舞台に選ばれたのです。地域作りのきっかけとしては、外部から地域に意図的に刺激を与えようというのは、異色なものといえるでしょう。

学生とコラボ

現在、弥栄に常駐しているのは、中山間地域研究センターの客員研究員である里山プランナーの皆田さんと地域再生の一役を担う地域マネージャーである藤井さんの2名です。藤井さんは、元里山レンジャーズ部長で、8月から地域マネージャーになりました。 しかし、皆田さんたち常駐のスタッフだけでは弥栄地区への外部からの刺激としては、十分なものは確保できません。そこで、島根県立大学浜田キャンパスの学生に呼びかけて30名強の「里山レンジャー」を組織する計画としたのです。
里山レンジャーは、弥栄地区で草刈などの農作業支援などを行って、その対価として交通費や資材などの経費に相当するお金を少額ですが、受け取ります。この時、受け取る額は低く抑えて、その代わり、野菜などの物品も分けて頂きます。分けて頂いた野菜は、学生達自らが運営する「弥栄ショップ」で販売して、その売上げが彼らの賃金になるという仕組みを模索しています。
弥栄地区に多くの学生が出入りすることが地域と学生双方にとって良い刺激となり、地域に新しいネットワークを生み出すことが狙いです。

里山レンジャー

草刈りの達人

レンジャーが請け負うことが多いのが、草刈りです。草刈りというのは農作業の中でも大変な作業の一つで、草刈りだけを専門に請け負ってやっている団体もあるほどです。活動を始めるにあたっては、そういった団体の仕事を取ってしまわないような配慮も必要です。話し合いに出向くと快く受け入れてくれて、せっかくならと一緒に草刈りをして技術指導もして頂けました。草刈りといってもやってみると技術が必要で、50年山で草を刈っていた方には仕上がりでもスピードでも到底かないません。しかし、草が短くなってくれればいいよという家もあります。そのような家には学生が出向くといった具合に、自然と棲み分けも出来ました。
それでも、最初の頃はレンジャーの未熟な草刈りにクレームもありました。しかし、次第に上達し、「ずいぶん上手になったね」と褒められるようになってきました。

草刈り
タケノコ掘り

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