国民参加の事例紹介
北陸圏 民有「歴史文化」資産の保存活用を考える会 (石川県能登町)
国土形成計画(全国計画)では、「個性豊かな地域文化の保存、継承、創造、活用等」を文化及び観光に関する基本的な施策の一つとして位置付けています。この施策の推進に当たっては、伝統文化の担い手など地域の様々な主体による取り組みが期待されますが、今回は、既に活発な活動を続けている「民有「歴史文化」資産の保存活用を考える会(石川県能登町)」の取り組みを紹介します。

能登町は、能登半島北部の奥能登地域にあり、平成17年3月、能都町・柳田村・内浦町が合併して誕生した人口約22,000人の町です。平成15年7月には能登空港が開港し、東京から1時間あまりで訪れることが出来るようになりました。内浦地域(旧内浦町)は、能登町の東部に位置し、能登半島の代表的な景勝地であるとともに、祭りや民俗風習が今も多く受け継がれています。今回は、「民有「歴史文化」資産の保存活用を考える会」の中與七郎さんと天野登さんにお話を伺ってきました。
蔵に眠る黒い箱
能登半島で建築設計事務所を営む中さんは、仕事がら若い人が居なくなると家を建てる人も居なくなるということを実感していて、人口減少と高齢化に対して強い危機感を持っていました。半島というハンディを持っている能登に人を呼び、地域を活性化するにはどうしたらいいか、と考えるようになります。
学生時代を東京で過ごした経験のある中さんは、他の地域に真似できない能登の宝は何か、と考えるようになり、素朴な農村や漁村、黒瓦をつかった民家など地元の人は目も向けないものにこそ価値があるのではないかと思うようになりました。そんな折り、家の蔵に眠る黒い箱を思い出します。中には、珠洲市上戸の土豪、真頼家の古文書がしまわれていました。他の家の蔵にも、知らなければ土蔵を取り壊した時などにそのまま捨ててしまうような宝が眠っているに違いない。これを活用して仕掛けられないだろうか、そう考えました。
プチミュージアム
民家に眠る宝を掘り起こして、部屋を改装してそのまま展示してはどうだろう。郷土資料館のようなものを作って展示するには、建てるのも維持するのもお金が掛かってしまう。それにいくら立派な施設をつくっても、東京から見れば一つの点にすぎない。奥能登にポツンと点があっても誰も来てくれないだろう。でも、小さな点でもたくさん集まれば何か面白そうなエリアとして浮かび上がるのではないか、そう考えました。
そこで、民家の片隅にプチミュージアムをつくります。展示物は、貴重で高価なものではなく、その家に眠っていたちょっとした文化歴史の所産です。家主が館主となり、訪れた人に資料の由来など説明し、お茶を飲みながら語り合います。
こんな小さな博物館をたくさん作って「奥能登トリビア蔵」と称するパッケージにします。観光客は時間を掛けてトリビア蔵を廻りますから、地域の人とふれあい、思いがけない発見をします。その体験は、効率よく展示された博物館では味わうことのできない、まさに能登にしか無いものとなることでしょう。

奥能登からオンリーワンを
さっそく、合併に伴う「まちづくりアイデア賞」の公募に「プチミュージアムの郷プロジェクト」として、応募してみたところ、特別賞に選ばれました。特別賞止まりだったのは、アイデアは面白いけど実現性に乏しいよね、ということだそうです。でも、簡単に実現できないからこそ、オンリーワンになり得るのではないか、簡単に真似できないから価値があるのではないか。
そう思っていると、旧内浦町の前文化協会会長の金七修さんが「面白いね」と言ってくれました。金七さんと一緒に実現の方策を模索していると、まちづくり活動の調査研究、交流活動等に対する助成を行う「公益信託能登町エンデバーファンド21」という基金があることが分かりました。基金を利用するため、有志の集まりであった活動を発展させて、平成18年2月に「民有「歴史文化」資産の保存活用を考える会」を立ち上げました。金七さんに会長に就任してもらって、トリビア蔵作りを「プチミュージアムの郷プロジェクト」と位置付けました。会では、毎月1回の定例会を開き、コンテンツのサーチ、資料価値を学ぶといった活動を展開しています。



