国民参加の事例紹介

九州圏 NPO別府八湯トラスト・NPOセカンドライフ倶楽部(大分県別府市)

国土形成計画(全国計画)では、新しい国土像実現のための戦略的目標の一つとして「持続可能な地域の形成」を掲げています。その実現のための施策の一つが「持続可能で暮らしやすい都市圏の形成」です。特に、地域固有の歴史や文化を再評価し活かしながら、地域への愛着の醸成やそこに暮らしたくなるような魅力を創出していくことが重要です。今回は、歴史的建造物の保存や移住者のまちなか居住支援などの、様々な活動を通じて中心市街地の活性化に取り組んでいる「NPO別府八湯トラスト」と「NPOセカンドライフ倶楽部」(ともに、大分県別府市)を紹介します。

野上さん

別府市は、大分県の東海岸のほぼ中央に位置する人口約122,000人の都市です。市内には、別府八湯と呼ばれる8つの温泉エリアが点在し、そのエリアには歴史的建造物も残っており、古くから日本を代表する観光地として賑わってきました。しかし、交通機関(汽船発着所)や市役所の移転、百貨店の撤退などにより、中心市街地への観光客や市民の来訪は減少傾向にあり、その再生が課題となっています。今回は、「NPO別府八湯トラスト」の野上さん、「NPOセカンドライフ倶楽部」の本坂さん、増田さんをはじめ両会員の皆さんにお話を伺ってきました。

新たな輪が生まれる

全国的に、UターンやIターン促進などに取り組む地域が増えている一方、移住が地域に根づいているところは少ないのが実情です。そんな中、移住という面では別府は先進的と言えるかもしれません。
きっかけは、自然環境や歴史的町並みなどの「別府八湯の宝物」を守り育てるため、地元で活動していた「NPO法人別府八湯トラスト」が、平成16年度に、移住者サポートサービスを目的とした全国都市再生モデル調査事業を受託し、その一環として、既移住者へのアンケートを実施したことに遡ります。

セカンドライフ倶楽部

別府八湯トラストの野上さん達は、事業のアンケートやヒアリングなどの過程で、移住者と知り合う機会に恵まれ、それは同時に移住者同士が知り合う場にもなったのです。そして、ふと気がつくと移住者同士のコミュニティがそこに生まれていました。
元々は野上さん達、地元住民が移住者をサポートしようと始まったことがきっかけですが、いつのまにか移住者が移住者をサポートする形に変わっていきました。移住者同士の新しい世界が出来ていくという展開は、野上さんにとっても意外なものでした。
そして、移住者同士のコミュニティは、ワインを楽しむ会などの企画をしていた竹内さんを代表に、「NPO法人セカンドライフ倶楽部」の設立という形に結実したのです。

移住先進都市「別府」

別府への移住者はとても多く、市内には移住者向けの温泉付きマンションがたくさん建っています。マンションを建てると宣伝の対象は、地元ではなく県外です。移住者が多い別府ですが、これまで特別な取り組みが行われてきたわけではないそうです。
野上さんは、別府は元々が港町で、移民のような人達を中心に発展してきた町なので、よその人を排除することなく、良い意味の無関心といった風土が根付いている。このことが移住者にとっては心地良いのではないか、といいます。
別府は、昔からの移住先進都市であったといえるかもしれません。

別府の町

別府の魅力

セカンドライフ倶楽部に所属する移住者の方にお話を聞くと、移住先に別府を選んだ経緯は様々です。もともと旅が好きで、全国のいろいろな都市の中から別府を選んだという方も居れば、たまたま観光で訪れて、ふらっと立ち寄ったマンションのモデルルームで一目惚れ、という方も居ます。
その一方で、みなさんが語る別府の魅力には、共通項も見られます。やはり一番は、温泉、次いで、山も海も近く食べ物が美味しい。そして意外なのが、便利だということです。
別府はコンパクトな地方都市で、駅やショッピングセンターなど、生活に必要なものは一通り揃っています。別府のマンションに住めば、首都圏近郊に住むのとあまり変わらない便利な生活が出来る、というのです。確かに古民家を買って、畑仕事をしながらの田舎暮らしには憧れます。しかし、昨日まで都市に住んでデスクワークをしていた人が、そういう生活に移行するのは容易ではありません。現実的なセカンドライフの選択肢として、別府は人気なのです。

別府八湯

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