国民参加の事例紹介
九州圏 NPO別府八湯トラスト・NPOセカンドライフ倶楽部(大分県別府市)
移住者が主役
セカンドライフ倶楽部の活動の柱の一つは、別府への移住を検討している人の疑問に答えたり、不安を解消したりすることです。残念ながら、「いいマンションありませんか」、といった不動産の質問には答えられませんが、それ以外のことなら、何でも相談に乗ります。答える人自身が移住者なので、移住を検討する人が知りたいポイントが良く分かるそうです。
昨年には、自分たち自身も知りたかったことを調べて、「わくわく移住生活GUIDE BOOK」という小冊子を作りました。自然や食などの魅力だけでなく、ホームヘルパーや福祉タクシーなど、暮らしのサポート情報のリスト、高齢になった時に心配になる老人ホームの情報など、移住者ならではの視点が活きています。
また、移住してきた人に対して、交流の場を提供することも重要な活動です。代表の竹内さんが所有するマンションを解放して、定例サロンやワイン会、音楽会などを開催しています。また、近くに農場を借りて、協同で無農薬野菜作りに取り組んだり、温泉での料理会なども行っています。これらの活動を、地元の人が移住者をもてなすという形ではなく、移住者自身が、自分たちが楽しめる企画、自分たちがやりたい企画を、自ら参加しながら行っているのです。

まちなか居住応援隊
平成20年12月には、別府八湯トラストと協同で、移住者の方々へ新たなアンケート調査を行ったところ、中心市街地のマンションに居住し、良好な人間関係や地域との交流、文化的な活動を求めているという移住者像が浮かび上がってきました。
また、嬉しい悲鳴とも言えますが、セカンドライフ倶楽部への移住相談はかなりの件数になります。現状はそのほとんどを、本坂さんが受けているため、一人に負担が集中しすぎています。
そこで、本坂さんの負担軽減と同時に、より地域に密着した情報提供が出来る体制を取るために、まちなか居住応援隊というものを企画中です。マンション毎に一人ずつ応援隊を設定して、居住者にしか分からないような地域の雰囲気や周辺の情報などの住みやすさを伝えられる組織を目指しています。単に移住希望者の質問に答えるということだけではなく、集まって話をする機会を作るなど応援隊間での情報交換や、既移住者や地元住民も巻き込んだネットワークづくりが目標です。
これからの別府に必要なもの
そんな別府でもやはり移住に失敗して帰っていかれる方も居ます。そうした方から聞こえてくるのは、文化的刺激が少ないという声。つまり、都会よりつまらないというのです。
確かに都会ではただ町を歩くだけで情報が向こうからどんどん入ってきます。しかし、地方都市ではなかなかそうはいきません。
野上さん達は、別府にはもっと文化的刺激が必要だと考えています。そしてその役割を担うのは、中心市街地ではないか、これからの時代、中心市街地に求められている役割は、物の売買だけではなく、文化発信や、文化的な交流であろうというのです。
そこに面白いものがあれば、行く価値が生まれ、行けば食事をするでしょうし、コーヒーも飲むでしょう、いいものがあれば買うかもしれません。物の売買ではショッピングセンターにかないませんが、中心市街地ならではの目指す方向があるはずなのです。
そのための新たな展開として、まちなか交流文化拠点の整備がこれからのテーマです。別府市が推進する「空き店舗活用事業」と連携して、居住者支援サービスを行う「まちづかいセンター」の設置、地域拠点として機能する「コミュニティ・カフェ」の検討などを進めています。
ただ歩くだけで楽しい、そんな魅力的な文化的移住先進都市に生まれ変わろうとしている別府は、全国の地方都市に新しい可能性を見せてくれるかもしれません。



