「第2回アジアの交通統計に関する検討ワークショップ会議」総括 English
1. ワークショップの目的
国土形成計画(全国計画)に示されたシームレスアジアの実現に向けて調査研究を進めるうえで、東アジア諸国における交通統計等の整備が喫緊の課題になっている。このため、今年3月に第1回ワークショップを開催し、交通統計データの整備状況について議論した結果、交通統計の標準化、共有化の重要性が認識され、今後とるべき方向性が示された。
今回のワークショップは、第1回ワークショップの議論をさらに深めていくため、新たにASEAN事務局を加えた東アジア諸国の交通統計の専門家が参加して、10月23日に愛知県常滑市で開催し、交通統計データの整備のあり方についてパネルディスカッションを行った。
また、ワークショップに引き続き、パネリスト及びアジア交通学会(EASTS)の研究者等が会合を開き、パネルディスカッションで提案された、アジア交通統計データの標準化、共有化に向けた行動及び前回の有志会合で提案された研究者間の情報ネットワークの形成等について議論を行った。
第2回EASTS有志会合の結論
2. ワークショップの主催者及び参加者
ワークショップは、1) 国土交通省国土計画局、2) 京都大学グローバルCOEプログラム(アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点)の共催で開催された。ワークショップには、コーディネーター・パネリストのシンガポール、中国、韓国、モンゴル、タイ、ASEAN事務局及び日本の研究者・専門家をはじめ、大学、研究所、関係業界等から合計55名が出席した。
3. ワークショップの概要
ワークショップでは、下記のように主催者の挨拶に引き続き、パネリストによる発表及びディスカッションが行われた。i) 主催者挨拶 国土交通省大臣官房 幾度 明審議官、京都大学大学院 谷口栄一教授
ii) コーディネーターによる趣旨説明
シンガポール国立大学 Tien-Fang FWA教授
iii) パネリストによる発表
A) 京都大学大学院工学研究科 谷口栄一教授
「交通計画及び交通管理のための交通及びロジスティックスのデータ」
B) 中国・清華大学深セン大学院 Lixin MIAO教授
「中国のロジスティックス・ハブの現状と将来計画」
C) モンゴル・道路輸送観光省プロジェクト部 Baasankhuu MANDUUL部長
「モンゴルの交通統計」
D) タイ・チュラロンコン大学工学部運輸研究所 Sompong SIRISOPONSILP准教授
「タイにおける交通統計の現状」
E) 韓国運輸研究所韓国運輸データベースセンター Sang Kyu HWANG博士
「韓国の貨物需要予測モデルとデータ収集」
F) ASEAN事務局統計部 John Frederick DE GUIA上級統計オフィサー
「ASEANの交通統計開発」
iv) ディスカッション
各パネリストの発表内容に基づき、パネリストによる討論が行われた。その後、会場との討論が行われた。
4. ワークショップの結論の概要
パネリストによる発表ならびにディスカッションに基づき、コーディネーターのFWA教授によりワークショップの結論が以下のように発表された。・4ヵ国(中国、モンゴル、タイ、韓国)から国内におけるデータベースの開発状況の説明があった。どの国も努力しているが、特に韓国は非常にすばらしいデータベースを構築しており、韓国のレベルに達するためには、国レベルでの資金、技術、データ容量の拡大が必要であることがわかった。つまり、データベース整備にあたっては国レベルの資金拠出及び専門的技術が必要であることが確認できた。
・谷口教授はアジア地域及び国際レベルにおけるデータベースに着目し、その課題として、国ごとのデータの不一致及びアジア地域・国際レベルでのデータの欠如を指摘するとともに、アジア地域・国際レベルのデータベース整備にあたってはASEAN、ADB、国連ESCAP等の国際機関の役割が重要であることについても言及された。
・DE GUIA氏は国のデータだけではなくアジア地域レベルのデータが如何に重要かを示した。結局、データは国及びアジア地域レベルの両方必要であり、その意味で、本日のワークショップのような相互の理解を深めるための協働の取り組みが必要である。
谷口教授は、個々の研究者と国レベルでの国際機関との連携の可能性について言及した。それが実現すれば、我々は情報資源を集積し共有化できることになる。しかし、国際機関が国レベルのデータを取得する能力を有するまでは、我々は、国レベルで直接、議論し地域の知識を提供する努力が必要である。そのような努力により、我々は、直接、情報を得るとともに、データの信頼性と質を確保することができる。また、それは、DE GUIA氏が指摘した課題、すなわち、時としてあるデータについては、出所がわからなかったり、データが信頼できるかどうかを検証する方法がないという課題に対する回答にもなると考えられる。また、このよう取り組みは、本日明らかになったすべての課題について対処していくうえで効果的な方法の一つであろう。従って、我々は、今後ともこの方針に沿って進めていくべきである。
・一方、データは地域の経済発展のための計画づくりにも非常に有用である。実際、そのようなデータは我々全員が必要としているものであるが、それを得るためには我々1人1人の努力が必要である。データを出さないことは何の利益にもならないことを理解しなくてはならない。我々全員が貢献することにより、ASEAN、ADB、国連ESCAPの国際機関は重要な役割を果たすことができるのだ。
・最後に、我々は我々が有するすべての情報資源を提供することが求められている。それらはすでにどこかで利用可能ではあるが、それらを集積し共有化できるようにすることが重要であり、そのためにすべての人が努力し、成功させなければならない。

